ストロー

黒く固められ熱を集めるアスファルト道路の上に、透明なプラスチックの蓋が一つ落ちている。同じ口径のプラスチックカップは見当たらず、ただ蓋のみが、その中央に開けられた星形に黒いストローをさされたままで、不安げに転がっている。そのストローは上からちょうど三分の一の場所が蛇腹状になり、そこで曲がっていて、曲がった先を地面に突き立て、地に対して「へ」のような形でバランスをとっている。それは、伏した人間が立ち上がろうとする力を込めた一手目、片腕を思い切り地面に突き立てるような動きを彷彿とさせた。