隅田川

夏の空を取り込んだ川は、反射した空やビルを光で細切れにして映し出す。海へと流れ出す大きな波のほかに、風によって生まれた波が細かな凹凸を作り出している。近くの高速道路を走る車の音や、カモメの甲高い鳴き声、たまに魚が飛び跳ねる音が響いているが、川そのものの音はなく、静かな印象を覚える。

舗装された河川敷のベンチに座り、飛び越えられそうな柵越しに、向こう岸の、また同じように舗装され柵のある、道を歩く人を眺める。その人との間には、川があり、川に浮かぶ鳥がいて、たまに飛び跳ねる魚がいて、向こう岸の柵に備え付けられたオレンジと白のボーダーの浮き輪がある。

その人はボンバーマンのサイズくらいで見えている。